子どもからもらったプレゼントの意味

 新学期2日目の降園時、年中4歳児のSちゃんからプレゼントをもらいました。とても、うれしかったです。「何がそんなにうれしかったの?」って・・・。それは、Sちゃんが私を受け容れてくれたことが実感できたからです。
 お母さんによると、Sちゃんは新しい園長である私に不安を感じていたとのこと。私が男性ということもあり、「こわかったら・・・」という思いもあったようです。でも、初日のかかわりで不安は払拭され、親近感をもってくれたようです。そこで、お家で自分の名前を書き込んだ折り紙の作品を作り、プレゼントしてくれたわけです。(お名前は個人情報ですから、加工して消してありますが・・・)そうそう、プレゼントには、お母さんの直筆で「よろしくおねがいします」とも書いてありました。本当に感謝です。
 私たち保育者は、子どもとのかかわりにおいて「受容」を大切にしています。ただ、私たちが「受け容れたい」と願っても、肝心の子どもたちが心を開き、私たちを受け容れてくれないと教育活動は成り立ちません。
 ちなみに、近年、教育を「ケア」という視点から見直そうという動きがあります。そのポイントは、「ケアする人」は自分が関心をよせる「ケアされる人」に向け、その人のために何かをしてあげたいと思う。そして、「ケアされる人」は「ケアする人」の「ケア」に対し、何らかの反応を示し、受け容れる。この関係性こそが大切、ということです。逆に言えば、「ケアされる人」が「ケアする人」による「ケア」を理解・受容しない場合は、教育活動さえも成り立たない、ということです。保育の英訳は「Early Childhood Education and Care」であり、保育自体がすでに「ケア」の要素を内包しているわけですから、生かすべき視点と言えるでしょう。
 時に「保育者=ケアする人」⇒「子ども=ケアされる人」と、その関係が一方通行になることがあります。場合によっては「ケアしてあげているんだから、先生の言うことを聞きなさい!」と、いわゆる「上から目線」に陥ることさえ見られます。とても、残念なことですね。私たちも気をつけなければなりません。そのためにも、子どもとの関係は双方向、つまり「保育者⇔子ども」として捉えていくことが大切になります。子ども側の気持ちを考えていくこと、つまり、子どもたちに受け容れてもらえているのかを自問自答していきたいと思います。Sちゃんからもらったプレゼントは、そんなことを考えるきっかけになりました。Sちゃん、本当にありがとう!!!
 あっ、またまた長話になってしまいました。しかも、ちょっと理屈っぽい話にもなり、「読むの面倒!!」という声も聞かれそうです。ですから、この辺で止めておきます。なお、今回の話に興味を感じた方には、ネル・ノディングズ(立山善康ら訳)『ケアリング 倫理と道徳の教育-女性の観点から』(晃洋書房)をお勧めします。専門書のため、難解ではありますが、じっくり読むと「目からうろこ」間違いなしです。
2023年04月10日