「遊び」のような、「しごと」のような

 5歳児の女児3人が、園庭にある木製の小屋の壁を靴箱そうじ用の小さなホウキで何度もこすっていました。ホウキは水でぬらしています。
 見れば、やっていることは大体わかるのですが、念のため、聞いてみました。
 私「何してるの?」
 A「おそうじだよね~」
 B「キレイにするんだもんね~」
 やっぱり、小屋をキレイにそうじしていたようです。誰も頼んではいないのですが・・・。
 ということは、これは「遊び」ではなく、そうじという「しごと」をしていることになるのかな・・・??
 オモチャではなく、本物のホウキを使い、水でぬらして小屋の壁の汚れを落としている姿を見て、そんな疑問がわいてきました。
 C「ペンキもぬろうか?」
 A・B「いいね!ぬろう!ぬろう!」
 3人は、そんなことを言いながら、ホウキにたっぷり水をつけ、またまた小屋の壁をこすっていきました。
 エッ?ペンキ? でも、ホウキにつけているのはただの水。ということは、やっぱり、これは「遊び」なのか・・・? 疑問はさらにふくらみました。
 幼児の場合、食事や入浴などの際、大人から見ると「遊んでる・・・」と感じることがあります。そのため「遊んでないで、早く食べて!」とか、「遊んでいるなら、もうお風呂出なさい!」などと、小言を言ってしまった、という親御さんも多いかもしれません。(子どもも負けずに「遊んでないもん!」と言い返すこともありますが・・・)
 ところが、幼児は大人ほど「遊び」と「基本的な生活習慣」場面を区別しません。ですから、ある研究者は「小さい子どもは、起きている間、ずっと遊んでいる」などと評しているわけです。
 でも、今回の5歳児の姿は「遊び」と「しごと」の区別もはっきりしていないことに気づかせてくれました。幼児の世界は大人から見ると不可思議で、なおかつ、わかりにくいものです。だからこそ、おもしろいんですよね~。
2023年12月20日