「不易」と「流行」

 「いつまでも変わらないもの、また、そのさま」を「不易」。「変化し続けるもの。また、そのさま」を「流行」と言います。
 俳諧の世界で俳句の本質を表すものとして使われていた「不易と流行」は、今日では芸術やビジネス、そして教育の世界でも用いられています。意味するところは、変わらず大事にすべきものと、時代に応じて変化していくべきことのバランスを取ることが大切、ということです。
 先日、5歳児のAちゃんが日中にもかかわらず、月が見えることに気がつきました。そして、どこに移動しても月が自分についてくることに大喜びしていました。Bちゃんも呼応し、二人であちこち歩きながら確かめていました。
 近年、ほとんど見かけなくなった姿だけに、私も懐かしさを感じました。都会では空を見上げることも少なくなりましたし、お月様に感情移入する姿も減っていますからね・・・。それだけに、自然と友だちのように遊ぶ姿に癒やされた気分になりました。いつの時代であっても、幼児にはこうした感性が見られるのですね・・・。
 一方、同じく5歳児のCくんとDくんが「写真を撮ってあげる」と、私のところに来てくれたことがありました。見ると、手作りのオモチャを首から提げていますが、それは、どうみてもスマホです。

 私「エッ?でもカメラないじゃない!」
 思わず、そう口にした私でしたが、CくんとDくんは気にすることなく、スマホを私に向け、写真を撮るフリを楽しんでいました。

 そうなんですね・・・。今時、写真はスマホで撮るんですよね。「写真の撮影=写真機(カメラ)」とイメージしていた私はまさに時代遅れ。今の時代を生きる子どもたちがふれているものへのイマジネーションが足りませんでした。子どもたちの興味・関心を把握し、適切な対応をしていくためには、自分の古くさいイメージを捨てる必要もありそうです。以上、「不易と流行」の大切さを気づかせてくれた5歳児の姿でした。




2024年06月15日