子どもの感性と感情移入

 毎月の誕生会ですっかり恒例となっている教師劇。5月は『3びきのこぶた』を披露しました。
 ところで、教師劇といえば、以前のブログ「ウソコとホンコ」(2023.10.1)で紹介したように、3歳児など幼児期前半では「虚」と「実」が大人ほど区別がつかず、「怖い」と感じたお話=劇では涙が止まらないケースも見られます。今月の教師劇『3びきのこぶた』ではオオカミが出てきますから、ちょっと心配していました。
 しかし、今回は職員が気をつかったのか、私はオオカミ役ではなく、こぶたの長兄役でした。(いつも悪役を調子にのって演じすぎるので首になったのかな・・・??)
 お陰様で・・・と言って良いのか、昨年、私の悪役を怖がっていたAちゃんも、ちょっと心配ぎみではあったものの、泣くことなく、最後まで見てくれました。感想を聞くと「楽しかったよ」とも言ってくれました。4歳児としての成長を感じますね。
 そうした中、同じ4歳児のBくんが私のところに一人でやってきて、こんなことを言い出しました。
B「オオカミと近いよ」
私「エッ?どういうこと?」
B「あれじゃあ、オオカミに食べられるって・・・、だから、こぶたはオオカミからもっと離れて逃げなくっちゃだめなの!」
 指を立て、真剣に話す姿からすると、私に「助言」「忠告」をしてくれたようです。
 確かに、劇では「ワラの家」を吹き飛ばされた後、演じるスペースも限られていたため、こぶたの長兄役である私は、壊れた「ワラの家」の周りを逃げ回る程度でした。Bくんはそれがオオカミと近すぎて、すぐにつかまって食べられてしまう。だから、もっと離れて逃げなければダメ、と言いたかったわけです。「演じ方を直せ」と言うより、「こぶたを助けたい」という思いからの発言のようでした。
 4歳児頃になれば、先にも述べたように「虚」と「実」の区別がつくなど、3歳児らしさを脱皮しつつある姿は見られます。
 ただ、それだけで子どもの育ちが語りきれるかと言うと、そうでもないようです。
 何歳になっても、その子が持つ感性には変わらぬ面もあるようです。自分が関心を持つ事柄に感情移入していく姿もそのひとつでしょう。こうした「個性」が、時に「年齢的な発達の特徴」を超えて表されることは意外に多いもの。「○○歳だから」というよりも、「○○くんだから」という視点から関わってあげることが大切なのですね。Bくんが真剣に「助言」「忠告」をしてくれた姿を見て、改めて、そんなことを考えさせられました。
 エッ?その後、どうしたかって・・・? 
 もちろん、Bくんの意図をくみ「わかった!今度、気をつけるね」と答えました。Bくんも納得、いや安心してくれたようで、私の返事を聞き、ニコッとした後、お昼ごはんのため、自分のお部屋に帰っていきました。
2024年05月31日